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目的と活動概要

製剤技術研究の発展と医療水準向上へ。

 
本会は製剤開発・製剤の生産技術およびエンジニアリングの研究とその発展を通じ、医療水準向上への貢献を目的としています。この目的を達成するため、本会は次の活動を行います。
本会の活動概要は以下の通りです。


(1)日本国内および海外の製薬企業、規制当局および大学等の研究機関等より製剤技術・生産技術・工場運営・品質
   管理および薬事関連の講師を招聘し、技術講演会を開催する。

(2)日本国内および国外の関連学会、研究会等の活動を支援する。

(3)国内外の製薬工場視察ツアー等の企画を通じて製薬企業間における品質課題、工場運営課題等の意見交換・相互
   交流の場を提供する。

(4)若手研究者の育成のための事業として、技術講演会の参加のための諸費用の助成等を行う。


●技術講演会(年一回/7月)
 本会は、日本の製薬業界に関与する産官学に対して、国内外の製薬技術やエンジニアリング の最新情報を伝えるため、年に 1 回「技術講演会」を開催致します。この「技術講演会」では、日 本国内および海外の製薬企業、大学等の研究機関、および厚生労働省、PMDA、FDA、EMA 等 の規制当局等から著名な講師を毎年10~14名を招きし、延べ約700名の方々にご参加いただ いています。

医薬品業界は現在、大きな変革と課題の中にあります。まず、日本政府が医療費抑制のため に推進してきたジェネリック医薬品では、品質不正問題が相次ぎ、信頼回復が喫緊の課題となっ ています。この状況を受け、正しい製造手順の見直しや遵守の徹底が強く求められています。ま た、薬価制度の抜本改革や新型コロナウイルス感染症の影響による原末・原薬輸入の供給不安 定化により、多くのジェネリック医薬品企業が不採算品目の製造中止を余儀なくされるなど、「緊 急非常事態」に直面しています。

一方、技術の進歩や社会環境の変化も、医療・製薬業界に新たな動きをもたらしています。パ ンデミックを経て、DX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとする新技術が急速に発展し、 それに伴い業界全体が大きな変革期を迎えています。特に、AI やIoT などの先端技術を活用し た新しい製剤技術の研究が進んでおり、医薬品開発のスピードと効率化が図られるだけでなく、 他産業にも多大な影響を与えています。

こうした状況下、製薬技術を含む医療への注目がさらに高まる中、医薬品産業と医療行政は、 社会のニーズに応えるべく多様な取り組みを進めています。また、高まる地政学的緊張が「想定 外」への対応力を試される時代において、医薬品業界も従来の創薬や工業化にとどまらず、グロ ーバルなネットワークの変化を背景に、新技術開発を加速させる必要性が増しています。 これらの取り組みにはもはや一企業や一国だけでの対応では不十分で、文字通りボーダレスな 視点からの取り組みが必要となってきています。

本研究会はこのように、グローバルな製剤技術の発展と医療水準の向上を目的とした非営利 団体であり、その性質上この「技術講演会」の参加費は無料としています。尚、交流会への参加 及び要旨集希望の方にはその運営費用の一部ご負担いただいております。また講演会場に隣 接して製薬会社、原材料メーカー、装置メーカー等からの協賛展示の場を設け、講演以外にも業 界動向把握、情報交換のための場を設けております。

また本会は一般社団法人製剤機械技術学会、ISPE日本本部、公益社団法人日本薬学会、公 益社団法人日本薬剤学会、一般社団法人粉体工学会、一般社団法人日本粉体工業技術協会、 日本DDS学会、一般社団法人日本PDA製薬学会にも協賛をお願いしております。

 

●製剤工場視察ツアー(年1~2回)
本会は国内および欧米の最新製剤工場への見学ツアーを定期的に開催しています。国内の 製剤研究者、製剤技術者、工場運営責任者、製薬企業の経営者、アカデミアの製剤研究者など の参加者を約10名程度公募し、世界の最新鋭の製剤工場約4~5件を1週間程度かけて訪問 します。

主なテーマとしては、コンテインメント対応の最新設備、多品目多品種のジェネリック医薬品の 生産工場、受託製造工場や、ISPEのFacility of the Yearを受賞した注目の製剤工場、さらには いち早く連続生産システムの構築が行われた工場を訪問します。

また訪問先工場の製剤技術者や製造責任者とのディスカッションの場も積極的に設け、製剤 技術のみならず製剤工場のコンセプトや工場運営についても、新しいアイディアを収集する良い 機会となっています。

 

●若手研究者の育成
本会は将来の製剤技術とエンジニアリングを担う、大学院生や企業に勤める若手研究者の育 成活動の一環として、「技術講演会」に、交通費および宿泊費を本会負担として、若手研究者を 年20名程度招待します。世界最先端の講師の方々の講演に触れ、直接議論を交わす機会や、 参加されている多くの最前線の製剤現場で活躍する諸先輩各位との交流の場を提供します。ま た、若手研究者から情報を発信する機会としまして、希望者にはポスター展示も募集いたします。